スナックのトイレは店全体の印象を左右する|居抜きでも新品にした理由
私がスナックを開業するとき、居抜き物件に残っていた設備をすべてそのまま使うのではなく、トイレは新品に交換することにしました。
トイレを交換したのは、設備が壊れていたからではありません。客商売をするうえで、トイレの清潔さはとても大切だと考えていたからです。私にとって、トイレは単に用を足すためだけの場所ではありません。お客様が店の印象を感じる、大事な場所の一つです。

お酒の場から、ふと「素」に戻る場所
お客様は、店でお酒を飲み、会話や雰囲気を楽しんでいます。その時間には、接客や音楽、周りの人とのやりとりなど、さまざまなものが重なっています。
トイレに立つと、お客様はいったん席を離れて一人になります。私には、その時間はお酒の場から少し離れ、ふと「素」に戻る時間のように思えます。周りの会話や接客から離れたところで、目に入ったものを落ち着いて感じる。トイレは、そういう場所でもあると考えています。
だからこそ、トイレの状態は、トイレだけの印象で終わらないことがあります。きれいで気持ちよく使えるトイレと、古さや汚れが気になるトイレとでは、店全体が違って感じられる。私はそう感じています。
客席やカウンターが整っていても、トイレに清潔感がなければ、「店の見えないところはどうなっているのだろう」と思う方がいるかもしれません。反対に、トイレまで気持ちよく使える状態なら、店のことを細かいところまで考えていると感じてもらえるかもしれません。
これは、お客様全員が同じように感じるということではありません。ただ、トイレはお客様が実際に使う場所です。そこでの印象が店全体の印象につながる可能性がある以上、客商売をする私にとって、軽く考えられない場所でした。
居抜きでも、トイレは新品にすると決めた
開業までの費用を抑えるため、私は居抜き物件を選びました。以前の店舗の内装や設備を活用できることは、物件選びの条件の一つでした。
その一方で、トイレについては、そのまま使うのではなく新品に交換すると決めました。居抜きの設備を使うことだけを優先するのではなく、お客様に使っていただく場所として、清潔な状態から営業を始めたいと考えたからです。
古いトイレなら必ず汚い、新品なら必ず清潔、ということではありません。新品に交換したあとも、きれいに保つには日々の掃除や手入れが必要です。それでも、開業時に新品へ交換することは、トイレの清潔さを大切にしたいという自分の考えを形にするために必要だと判断しました。
クロスとカーペットの張り替え、トイレの交換を含む改装費は、合計で約100万円でした。トイレだけの金額ではありません。費用を抑えることを考えながらも、お客様を迎えるうえで大切だと思う部分には費用をかける。私にとって、トイレの交換はその一つでした。
これから店を開く方へ
これから物件を探す方は、トイレを含め、お客様が実際に使う場所を自分の目で確認してみてください。そのまま使いたいと思える状態か、手を入れるならどこをどうしたいのか。物件を決める前に考えておくと、開業までの準備や費用を整理しやすくなります。
また、設備を新品にするかどうかだけでなく、開業後にどのように清潔な状態を保つかも考えておきたいところです。交換は開業時の判断ですが、日々の手入れは営業を続ける中で欠かせません。
トイレは、お客様がお酒の場から少し離れて「素」に戻る場所です。そこで感じた清潔さや居心地が、店全体の印象にもつながることがあります。私はそのことを大切に考え、居抜き物件であってもトイレは新品に交換しました。客商売をするうえで、トイレをどう整えるかも、店づくりの一部だと思っています。
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